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2007年10月21日

松下電器産業 森下洋一氏

 4月から、所属する税理士の団体であるTKC全国会と関西学院大学が共同で開催している新月プログラムという会計学と法律の講座が13日の土曜日に最終回を迎えました。4月から月に9時間、授業を受けてきました。(仕事で途中抜けることも少しはありましたが)無事修了証を頂きました。
最後の講義は松下電器産業の森下洋一相談役のお話でした。

 森下氏は昭和32年に松下電器に入社、その後取締役社長、取締役会長を歴任され、現在相談役。今年で入社50年になるそうです。公職は関西経済連合会副会長、関西学院副理事長、その他にトヨタ自動車社外監査役などの要職をされているとのことです。
松下電器は1918年(大正7年)創業、今年で89年。全世界での売上は9兆円超、グループ従業員は33万人もいるそうです。すごい規模ですよね。

 この日は、松下電器の経理制度のお話をして下さいました。

 経理制度の中には、財務管理と経理管理があり、財務管理の中には内部資本金制度と資金管理制度というものがあるそうです。経営管理の中には事業計画制度と業績制度があるそうです。
 ①内部資本金制度・・・各事業場の長が収益管理と財務管理の責任と権限を持ち、自主自立の運営を行う制度。
 ②資金管理制度・・・これは、資金がいかに効率よく調達され、運営されるかを制度的に裏づけ、会社の財産の健全性をチェックするものであり、経営を財務面から見極める制度。資金調達は社内銀行で厳しい審査をパスしないと不可能で、何か新しいプロジェクトをしようとする時には、その事業部の自己責任が課せられ、本社からの社内借入を義務とするとのこと。計算上の話ですが、金利の計算もあるそうです。
 ③事業計画・・・社長の方針による実行計画で、社長と各事業部の長とで経営契約を交わすそうです。各事業部の長の計画の積み上げが世間に公表される事業計画となるとのことです。
 ④業績評価・・・従来は成長性・収益性・キャッシュフロー等を加味して評価していたそうです。これが今度は成長性とCCM(企業が外部から資金提供を受けて経営する上で、最低必要である利益)、つまり資本コスト重視の経営を評価基準にしていくそうです。

 さらに、各事業部には、経理担当の社員さんが所属し、計画通り事業が進んでいるかをチェックし、所属する事業部の長に助言したりできるそうです。

 お話を伺っていると、一つの会社の中にいくつも会社がある感じがしました。しかし、各担当者に丸投げではなく、計画が達成されるよう、色々な仕組みづくりがされていると感じました。
 松下の哲学は「変わらぬ理念・変わりゆき方途(同族以外の人材登用)」とおっしゃってました。これが経営理念の拠り所であり、なぜ社長に任命されたか、という質問には「松下の理念にぶれなく実行できる人材かどうかが最大の基準だろう。自分もその基準に従って後継社長を指名した。」とおっしゃってました。 
 企業を支えるのは人材であり、経営理念の実践者の育成の大切さ、モノを作る前に人材を作ることが大切だともおっしゃってました。人材を確保して企業を大きくするには、会社の内部留保の確保がないと、バランスシートから見た会社の評価が上らない。節税もほどほどに、との話をされ、約1時間ほどの講演が終了しました。

 あっという間の講演でしたが、会社を大きくするには、社員一人ひとりが力を合わせること、みんなが「自分の会社である」という意識を持てるような会社にすることが事業の繁栄につながるんだなと強く感じました。
  


Posted by 泉田 裕史 at 17:44Comments(0)